福岡行二日目。天神をぶらつくつもりだったが、急に気持ちが変わり、美術鑑賞することに。地下鉄のポスターを見て、福岡アジア美術館で開催中の「ベトナム近代絵画展」に決めた。
複合型ビル「博多リバレイン」の7~8階。前日の石橋美術館のように広々とした敷地内の花と緑に囲まれた美術館もいいが、こういう機能的な都市型美術館も悪くない。
ベトナムの美術、といっても予備知識は全くない。あまり期待はなかったが、これがなかなか面白かった。
漆を使った技法が実に独創的。日本では漆器によく見られる表現技法が西洋画の中に取り入れられている感じ(技術的に同じかは知らないが、見た感じが)。
これが光や稲穂の描写に使われているのだが、正面から見るとごく普通の風景画なのが、下からのぞき込むようにしてみると、金箔が鮮やかにきらめき、現実的でかつ幻想的な、大自然が時折見せる壮大な美しさを再現している。金箔を使ってこのような表現方法があったとは。ベトナム人の独創性に感服。
ポスターやパンフレットにも使われているフィン・ヴァン・ガム「リエン嬢」(1962年)も、この漆絵の技法が日に当てられた肌の表現に使われている。薄暗い室内で、窓から差し込む強烈な西日に照らされこがね色に輝く人肌の表現は実に蠱惑的。実物を見てみないと分からない好例。
時系列に沿って展示されたベトナム絵画は、後半に行くと戦争の影が次第に増す。戦火に彩られたベトナムの歴史は、「花と銃」というこの展覧会のサブタイトルからも伺えるように、漆絵の華やかさの一方で、戦争の影響が美術の世界にもずしりと重く横たわっていることを伺わせ、考えさせられる。
そういう「重い」部分もあるものの、全体的にはビギナーでも充分楽しめそうな印象。お子様連れでもよろしいんじゃないかと。漆絵の効果はそのくらいインパクトあります。
ランキング参加中です よろしければクリックお願いします。 |
ベトナム近代絵画展 花と銃―インドシナ・モダンの半世紀
期間 2006年6月3日(土)~2006年7月23日(日)
10:00~20:00
休館日 水曜日
観覧料 一般800円
福岡アジア美術館
福岡市博多区下川端町3-1
リバレインセンタービル7・8階
地下鉄中洲川端駅直結