たま～にしか書かない読書感想文だが、また間が空いてしまったな。なにしろ年々本を読むペースが落ちているし。と恒例の言い訳
ちなみにこれを読み終えたのはかなり前なんですが、すっかり感想かくのを忘れていたものです（＾＾；
いや、なんとも書きにくい、というか、痛い、というか。
痛い、といっても小説がつまらない、とか言う意味ではなく、主人公が。わが身を振り返って、思い出して懐かしいような忌まわしいような、なんというか「痛い」感じがするという意味。
舞台はアメリカ南部の田舎町、今では町の名士となった開業医の男が綴る高校生時代の淡い恋愛と、それを引き裂くように起きたある忌まわしい事件の回想、という体裁。
医者を目指すくらいだから頭はいいけど、容貌にはコンプレックスを持ち、自尊心や虚栄心はけっこう強いんだけどシャイで女性にはおくてで内向的、という主人公の（特に高校時代の）キャラクターは、アメリカ人にもこういうタイプ乗っているんだなあ、という感じ。
自分の気持ちを打ち明けることができず、ひとり舞い上がったり、そういうところが、共感を覚える一方で、なんだか忌まわしい（苦笑）
冴えない非モテ男の情けない妄想じゃないか、といえばたしかにそうなんだけど、、それを切ないまでの文学的表現に高めているところがクックの腕。
青春小説としても充分読ませるので、ミステリーであることを時折忘れそうになる。ゆったりとした文体もその気分をさらに増幅させる。
それだけに、終盤で語られる真実の衝撃はより大きく、重いものに感じる。というか、その、ほんの少しの悪意が生んだ結果は（遠く後に引き起こされることになるいくつかの悲劇も含めて）実際にとてつもなく重い。
なんというか、深い余韻を残す一冊。ちょっと寝づらい熱帯夜の夜に、遠い昔の初恋の記憶でも思い出しながらゆっくりと読んでいきたい。そんな一冊。
と、いかにもこの季節に合わせてチョイスしました、といわんばかりのこじつけはいけませんね（＾＾；
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