図書館警察 スティーブン・キング


図書館警察―Four Past Midnight〈2〉
スティーブン・キング 白石朗 訳

 相当前に買ったまま放置していたが、やっと読んだ。中編2作が収められている。

元々は「Four Past Midnight」という4作の中編集だったようだが、日本語翻訳版ではこのこの「図書館警察」と「ランゴリアーズ」、2作品ずつ収められた中編集という形になっている。1冊にまとめるには分量が多すぎるからだろう。

「図書館警察」。期日までに本を返さない子に罰を与える「図書館警察」という発想が馬鹿馬鹿しいようで不思議なリアリティがある。こどものころそういう存在を吹きこまれたらマジでビビるだろうな、という感じで(^^;

要約すると「中年男が忌まわしい過去のトラウマを克服するお話」。ただしあくまでホラー。あくまでホラーなんだけど、アメリカ人が好きそうな話ではある。

メインの話より、挿話(アル中デイブとロイヤルズファンの不治の病に侵された少年の話)が泣かせる。

「サン・ドッグ」。なぜか犬しか映らないポラロイドカメラにまつわる恐怖話。少年の成長譚という側面と、このカメラで一儲け企んだ古物商の転落劇、という側面があり、どちらがメインなのか、ちょっと焦点がぼやけてしまったかな。

古物商ポップ・メリルが悪知恵を働かせてカメラを手にし、その意に反して災厄が降りかかるさまにはある種の痛快さがある。どす黒い底意地の悪い痛快さ、だけど。

人の心の奥底をあぶり出すような視線が文章の端々からかいま見えるが、どちらの作品も、クライマックスは薄気味悪いバケモノが出てくる純然たるホラー。すごく文学的なのかB級なのか、よくわからないとこがあります。この人の作品って(^^;

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