雪の日の思い出

 雪と言えば、忘れられない思い出が一つ。

 2004年1月のこと。

 その日は仕事が休み、福岡へ行く計画を立てていたものの、前日は路線バスが運休になるほどの大雪。

 こりゃダメかな、と思っていたけど、その日の明け方には雪もだいぶ溶け、ほとんど気にならない程度の小降りに。

 天気予報を調べると、後は回復に向かう一方。交通情報調べても、予定通り運行、ということで、朝6時前から、佐世保駅へ。

 福岡に行くときには運賃の安いバスがセオリー。とはいえこういう天気の時は、JRの方が無難だろう、と家を出るときまで思っていたのだが。

 駅について、とりあえずバスの運行状況を聞いてみよう、と思ったのが運のつき。予定通り運行、と聞いては、やはり1円でも安い方に乗りたいもの。高速バスで行くことに。

高速バスより 有田付近  夜も明けぬ早朝、客は僕1人。大塔で自動車道路に乗って、有田くらいまでは順調だった。そこを過ぎたあたりから、やけに雪の粒が大きくなり出した。

 暖かいバスの中、綺麗なもんだな~ とのんきに構えていたのもつかの間。客席から見ても心配になるくらい、視界は悪くなってきた。

 やな予感がしてきた直後、運転手さんより「高速が通行止めになったので、一般道に降ります」との一言。否も応もない。まあかなり早めに佐世保を出てるし、少々遅れたところでたいしたことはない。

 場所は多久インター。降りたところはまさしく銀世界。運転手さんは、チェーンを付けるといって外へ。

多久インター付近 もう真っ白  佐世保はあまり雪は降らない。降ってもそれほど積もらない。自分もせっかくなので、外に出てみる。靴が埋まるほどの雪。忘れかけていた、久しぶりの感触。9年前に雲仙へ行ったとき以来か。

 しばし真っ白な世界に酔いしれる。ヤケクソだが。

 運転再開。途中で途方に暮れように立ち止っているトラックを何台も見かける。しばらくして理由が分かった。

 多久インターは一般道を少し上ったところにある。その坂道、かなりの急傾斜。チェーンの用意なしにこの坂を下るのが、いかにデンジャラスなものかくらい、免許持たない自分にも分かる。

 まあ、コチラはその道ン十年?のプロに任せておけばいいので、気楽なもの。運転手さんはえらく緊張した面持ちだったが。まあ気のせいだろう。

 本来ならもう福岡に着いているところなのだが・・・・ 坂を下っても、銀世界での徐行運転は続く。

 なんだか風格ある昔風の建物が多い。携帯のGPSで調べると、ここは羊羹で有名な小城町。道理で。村岡や八頭司といった老舗菓子舗の風格ある建物に降り積もる雪。いいですねえ。ヤケクソだけど。

 無線で連絡を取っていた運転手さん、「福岡に行くのは無理」と冷たい宣告。そんな・・・・

 聞けば佐賀・福岡の方はさらに雪がひどく、渋滞も激しいと言うこと。佐世保にUターンすることに。否も応もない。

 せっかく休みを取って、見たくもない雪景色を見て終わりではあまりに虚しすぎる。JRならあるいは、と思って、近くの特急停車駅でおろしてもらうことに。肥前山口駅が一番近いとのこと。

 JRも運行が遅れているだろう、と思っていたが、やはり遅れていた。5分間だけ

 うまい具合に福岡行の特急がきた。車内は満席。特に徐行するわけでもなく、普通に列車は進んでいく。移りゆく窓からの景色を見ていると、なんだか哀しくなってきた。あの珍道中はいったいなんだったんだ。

 結局15分程度の遅れで、福岡に到着。僕だけは4時間遅れ。

 ついた時点でもうクタクタ。日帰りの予定を変更して、福岡で一泊することに。ちなみにその時の宿が、前に紹介したJR九州ホテル福岡

 それまでは2ヶ月に一度は福岡に行ってたけど、これ以降約一年、福岡から足が遠ざかってました(苦笑)

 天気の悪い日は大人しくお家のこたつで丸くなってるに限ります。

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