ローレンス ブロック 田口 俊樹
二見書房 (1986/11)
売り上げランキング: 297,013
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古本屋で買ったマット・スカダーものの一作。
今までとちょっと雰囲気が違うのは10年前の事件の回想、という体裁をとっているため。郷愁の含む文体でつづられた酒場の濃密なようでどこか冷めた人間模様と、そこで交わされるウィットに富んだ会話を読んでいると、酒に弱いことも忘れて自分もなにか飲みたくなってくる。これぞブロックの職人芸。飲む人だったら馴染みの店についフラフラとなってしまうんじゃないかと(笑)
文体によっているうちに忘れそうになっていたが、いちおう事件は起きる(オイ)。いちおうじゃなくて、ちゃんと2件。モジュラー形式だが、捜査しているのはスカダーひとりなので、たまにどちらの事件を調べているのか分からなくなったり(苦笑)。謎解きは特にどうってことないのだが、始末の付け方はなんともスカダーらしい。
名作「八百万の死にざま 」の次の作品に当たる。アル中探偵スカダーから断酒探偵スカダーに移行する節目の作品なのだが、回想、という形を使ってうまい具合にソフトライディングしたな、という印象。個人的には「八百万の~」よりこちらのこじんまりとした世界の方がしんみりして好きだった。
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はしっこさん、ローレンス・ブロックもお読みになるんですね。私も大好きです。新作も読みましたよ「死への祈り」。マット・スカダーはもう還暦を過ぎ、探偵稼業への意欲はだんだんなくなってきているように感じます。何だか寂しいな。
スカダーさん還暦ですか・・・・(遠い目)
スカダーシリーズも大好きなのですが、読む順番が無茶苦茶だったので、かなり記憶が混乱してしまってます(一時期図書館にある分を片っ端から借りていたので)。あの文体はかなり好きです。それにしてもスカダーシリーズもかなり登場人物の重複が多いですよね。
作品によってスカダーの考え方もかなり変化しているようだし、このシリーズもまた1作目から順を追って読んだほうがいいんでしょうね。