早川書房 (1995/09)
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レジナルド・ヒルのダルジール警部シリーズのひとつ。
前に紹介した「闇の淵」の続編なのだが、実は「骨と沈黙」の方は4,5年前に読んだことがある。
「このミステリーがすごい」で1位に選ばれた作品なので、とりあえず読んだのだが、有り難いことに詳しい内容はほとんど覚えてなかった(苦笑)
主要登場人物が「闇の淵」から重なり合っていたり、やはり前作から読んでいたほうがしっくり来る。
ダルジールが女性が射殺されるのを目撃したところからストーリーは始まる。ダルジールは現場にいた被害者の夫フィリップによる殺人と主張するが、フィリップは銃の暴発を主張する。当時ダルジールは泥酔していたことで、旗色はダルジールに悪い。
これがメインストーリー。それにダルジールへ送られてくる自殺志願者からの手紙の捜索、フーリガン騒動といったサイドストーリーが複雑に絡み合って進む展開は、まさしくヒルのお家芸。
折しも街では市民参加の聖史劇が執り行われることになり、「神」の役にダルジールが、さらに「悪魔」の役にフィリップが抜擢されて犬猿の二人が相対することになる。この辺りのやりとりの面白さもまた、ヒルならでわ。
自殺志願者の正体はギリギリ覚えていたが、覚えていたのはその程度。フィリップが犯人かどうかは完全に記憶の外だった。詳しくは言えないが、謎解きは少々偶然に頼りすぎている感はあるものの、論理性も意外性も充分。ヒルにはトリックとか謎解きとか、本格ミステリとして面白さはそれほど期待してないとはいえ、「着地」が決まるとやはり好印象。
個人的には「子供の悪戯」の方が好みだが、この作品の骨太なブロットも魅力的。このころが、ヒルの円熟期だったのだろう。
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トラバありがとうございます。
桜坂本舗の「外道坊主」です。
私は「骨と沈黙」をダルジール&パスコーシリーズとは知らずにいきなり読んだのですが
面白かったです。でも、やっぱり予備知識があったほうがいいですよね。
「子供の悪戯」面白そうだなーといつも書店で迷ってたんですが、読んでみようと思います!
どうもです。ヒルの小説の場合、前の作品の重要人物があとの作品で再登場したり、というのが多いので、やはり順番に読んでおきたいところですよね。ただ初期の作品はどうしても物足りないところがあるんですよねえ。「ダルジールファミリー」が勢揃いしてないところとか、どうしても人物描写に深みがないところとか。
やはりヒルは「子供の悪戯」から「骨と沈黙」にかけてがひとつの頂点だったような気がします。
実を言うと新作は「武器と女たち」までしか読んでなかったりします。新作も読みたいけど、その前にシリーズを一度読み返しておきたいような、思案中です。