ブラック・ダリア ジェイムズ・エルロイ

ブラック・ダリア
ブラック・ダリア

posted with amazlet on 07.04.20
ジェイムズ エルロイ James Ellroy 吉野 美恵子
文藝春秋 (1994/03)
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昨年映画化されて話題になったので、再読してみることにした。相変らずの遅読で、読み終えた時には映画が話題になったのははるか昔。

もちろん映画の方は見ていない(佐世保では上映されたのだろうか?)

エルロイのいわゆる「L.A暗黒の4部作」の第1作。第3作目に当たる「L.A.コンフィデンシャル」もずいぶん前に映画化されているはず。

内容は完全に忘れてしまっていた。というより、10代で読む小説じゃないな。

第二次大戦後間もなくに実際に起きた「ブラック・ダリア事件」が題材。事件に触発された登場人物たちの情念の描写が作品を重苦しいものにしている。

差別意識むき出しの当時の世相の描写も、殺伐とした雰囲気をさらに強めている。正直この人の作品を読んでいたおかげで、僕のアメリカに対するあこがれは八割方減らされた(苦笑) ある程度誇張はあるとしても、これもアメリカの一部分なのだろう。

エルロイと言えば「暴力と暗い情念」の描写というのが定説だが、純粋にミステリとして見て価値が低いかと言えばそんなことはない。中盤以降の、主人公の刑事バッキーの「ブラック・ダリア」の死の空白を埋めていく捜査の過程は警察小説としても充分面白い。

そして結末に明かされる意外な真犯人。巻頭の「主な登場人物」に入ってないのはどうかと思うが(苦笑)

最後にこれだけ重苦しくも陰惨な小説なのに、最後の最後だけ読後感が爽やかなのはずるいと思います(笑)


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