陰鬱な世界 パレスハウステンボス「ゴヤ展」

現在パレスハウステンボスの「ハウステンボス美術館」で開催中の展覧会は「スペインの巨匠 ゴヤ展」

ゴヤといえば「裸のマハ」「着衣のマハ」で有名だが、今回の展示内容は、銅版画。

何でも小屋は銅版画でも優れた才能を有していたそうで、今回はゴヤの「四大版画傑作」と呼ばれる作品群のうち「戦争の惨禍」「気まぐれ」二つの銅版画集の作品が展示されている、のだが。

とにかく暗い。

「戦争の惨禍」は名前のとおり、戦争の悲惨さを描いた作品集。戦場の悲惨な光景を報道写真的な視線で描いたこの作品は、グロテスクで、陰鬱。戦争のおろかさ、というより、人間のおろかさ、どうしようもなさを抉り出しているように感じる。

後半になると擬人化された動物が描かれるが、それも決してユーモラスなものではなく、ヒエロニムズ・ボスをさらに薄気味悪くしたような感じ。

ゴヤってこんな陰鬱な画家だったっけ、と思ったら、この当時ゴヤは病気の影響で耳が聞こえなくっていたらしい。そういったことが作風に影響しているのか。

2階は「気まぐれ」。政治・社会風刺を描いた作品らしい。「戦争の惨禍」に比べれば凄惨さは控えめなものの、絵に漂う人間不信の度合いはむしろ強まっているような。

社会風刺というものはその大元となる社会についての知識がないと今ひとつ分からない。そういったおのおのの作品の背景の説明がまったく皆無だったのは片手落ちだったように感じる。

まあ意味は分からなくても、気が重くなってしまうのは否めない。かなり疲労感が残った。

最近はただの通路となっていることが多い3階展示室だが、今回は珍しく展覧会が開催中だった。

「岸川美智子展」。花の静物画がメイン。ハウステンボスの風景を題材にした画もある。タイトルは忘れたが、田園風景を背景に描いた花の画が印象に残る。

やさしいタッチの穏やかな画風で、ゴヤのあとの毒消しにはぴったり(笑) 佐世保在住の方だったようだ。


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ハウステンボス美術館

長崎県佐世保市ハウステンボス町1-1 パレスハウステンボス内
園内巡回バススパーケンブルグバス停徒歩3分
営業時間 9:00~17:00
定休日 不定
入館料 500円(チューリップモーレン会員無料)

スペインの巨匠 ゴヤ展

2007/5/11(金)~2007/6/10(日)
会場 ハウステンボス美術館(パレスハウステンボス内)
開館時間 9:00~18:00(入場17:00まで)
観覧料 500円

カテゴリー: ハウステンボス, 美術館 タグ: パーマリンク

2 Responses to 陰鬱な世界 パレスハウステンボス「ゴヤ展」

  1. sasebo-comawari のコメント:

    らんぷ亭さんの件ではトラックバック承認ありがとうございます。
    昨日たまたまこのゴヤ展のことを知り、
    今日ブログを拝見させていただいていたところ、
    こちらの記事を発見しました。
    実はこのパレスで短期間働いていたことがあるのですが、
    あそこのことなのでそんなに大した規模では展示してなさそうだなと思い、
    しかも6月10日までということでかなり迷っていましたが、
    はしっこのひと様の文章を読んでいると見ごたえがかなり有りそうに感じたので、
    今週末にも行ってみたいと思いました。

  2. はしっこのひと のコメント:

    是非行ってみてください。かなり疲れますが(苦笑)
    パレスでの仕事、どんななんだかすごい興味あります。

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