佐世保の歴史を知りたいなら、もっておいて損はないのは、この本
「広報させぼ」の名物コラム「歴史散歩」を1冊にまとめた本。
元はコラムのため、1節ごと簡潔にまとめられ、郷土史の本とはいえパラパラと目に付いたところから気軽に読めるのだが、すべてに通じるテーマとして、一寒村に過ぎなかったのが海軍の軍港になることで急速に発展した、という通説に対し、「佐世保は明治以前の古くから、小なりとはいえ、商業都市的性格を備えた国衙領(国有地)だった」という主張が一貫して流れている。
曰く、当時の「佐世保浦」は現在の元町・教法寺付近に市場が立ち、佐世保川河口から川上にかけて家が軒を連ねる商業と交通の要所だったと。このことと御厨荘(松浦)と東彼杵の東福寺領の荘園にはさまれた立地ゆえに、中世期、国が荘園を取り戻した際、すぐに国衙領とせず、一時留保した土地、すなわち「保」となったのらしい。
(すなわち「ヒカリ」や「ログキット」のある辺りは明治以前からけっこう栄えていたのだ。ピンとこないけど)
この本の元となるコラムの連載が始まったのは昭和40年(1965年)40年以上前。この間に執筆者は交代しながらも毎月続いているというのも、いかに「明治以前は寒村」ではないにしても、よくネタが続いたもの。地方自治体広報誌の連載でここまで続いてる例はよそにはないのだとか。
それだけに、扱っているネタも実に細かい。その辺りで苔むしているお地蔵様でもきちんと調べればネタになるんだな、という感じ。自分もブログやっているとネタがなくて頭を悩ませることがあるが、この本を読むとある意味勇気付けられる(笑)
僕も佐世保にずーっと住んでいるとはいえ、行動範囲はかなり偏っているためか、知らない場所も多い(というか、知らない場所のほうが多い)。それだけに、なじみ深いところが紹介されているとちょっと嬉しい。
これに載っている中で興味深かったのが「高筈」という字。弓針登山道路の中腹から将冠岳方面へ進んだところにある、昔我が家で借りていた市民農園がある場所。
一度そこからずっと先に進んで、市北部の中里方面へ降りたことがあるのだが(そのときは中里町のカフェ「カザン」で一休みして帰った。個展が開かれたりもするアーティステックなお店で、そこに野良仕事帰りに行ったのだから、失礼といえば失礼な話)、この道は狭く坂はきつい、車が通るのも難儀そうな寂れた山道が明治末年までは佐世保-中里間の「主要道」だったとのこと。明治以前の日本の交通事情の一端を垣間見ることができる。
何気ない風景にも歴史が息づいていることを教えてくれる、佐世保の町歩きをより楽しむためにはお勧めの1冊です。
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大学のときにレポート書くためにこの本読んだと思います。
たしか似たような本がもう1冊あって、どっちがどのような内容だったか忘れましたが、かなり助かりました。
まさかこの本を私物として持っておられるのですか?すごい愛です。
実は同じ出版社から出ている佐世保の古地図の本がほしくてたまらないんですよ。
ただし定価5000円強。古本屋で探してみようかな