ネタ切れついでに、前に読んだ本をもう一つ。
ローレンス・ブロックの人気シリーズ、マット・スカダーものの1編。
翻訳ものは読みづらいのが常だが、これに関しては驚くほどスピーディに読むことができた。
恐喝屋が殺され、容疑者は彼に脅されていた3人。スカダーは恐喝屋を装い、3人の容疑者に近づく・・・・
というシンプルすぎるくらいシンプルな構成。登場人物はかなり少なめ。歯切れのいい文体。翻訳ミステリー初心者にはオススメの一編。
不運な事故で少女を死なせ、そのことがきっかけで警察を退職、その後もトラウマとしてそのことを引きずっている、というスカダーのプロフィールも魅力的だが、後年の作品ほどには内面描写には立ち入ってない印象。
むしろシンプルながら、後半に入って二転三転するストーリー展開の妙が光る。
ミステリーとしての面白さも充分。これから4作あとの代表作「八百万の死に様」と比べると小品だが、読み応えのある仕上がりだった。