東京創元社
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手持ちの小説がなくなったので、なんか読みたい、でも肩の凝るようなのはなあ、ということで、買ったのがこの本。
10年ほど前の微妙に前の小説だけど、当時は歴史ミステリーの快作、というか珍作として一部で話題になっていた。
歴史ミステリーというと海外では「時の娘」国内では「成吉思汗の秘密」あたりを思い出すが、この小説にそういう堅苦しさは一切なし。
小さなバーでバーテンダーと常連3人が織り成す居酒屋政談、ならぬ居酒屋歴史談が6篇収録。
邪馬台国が岩手だったり、聖徳太子も蘇我馬子も架空の人物だったり、本能寺の変の真犯人は織田信長だったりとどれもはちゃめちゃな内容ながら、読み進むうちになんだかこれが真説かも、なんて気持ちにも。多分騙されてるんだろうけど(^^;
仏陀は実は悟りを開いてなかった、と主張する「悟りを開いたのはいつですか?」宮田の名推理によってなんだか情けない小市民の姿をさらけ出す仏陀にむしろ親近感を感じてしまうのは自分が小市民だから? 駄目押しの最後の一言が巧い。にやりとさせられます。
「謀反の動機はなんですか」 事実かどうかはともかく(というかさすがに無理筋ぽいけど)この解釈で織田信長を描いた小説(あるいはドラマ)というのも面白そうだな。自殺志願者信長。
登場人物はちょっと類型的だけど、それがむしろ読みやすさにつながっている。バーテンダーなのにカクテルより料理の方が得意っぽい松永さん最高。
最初はガチバトル展開する常連さんたちに振り回されてたのに、だんだん悪乗りして最後の作品では聖書検索ソフト自作してプロジェクターまでバーに装備する用意周到振りが可笑しい。
多分入念にチェックすれば異論反論は山ほど出てくるんだろうけど、あまり堅苦しいことは考えず、ほら話を楽しむのがいいんじゃないかと。本気にするとイタい人と思われるおそれもありそうですが(^^;。
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